スクーターの仕組み・クラッチ編

「なんかさぁ〜、最近俺のスクーター遅くなってきたのよ。もう買い替えかなぁ〜?」
「もう5年位になるよね?ベルトとクラッチ交換してみたら?」
「俺のさぁ〜、スクーターだって言ってるじゃん!クラッチとか無いわけさ。知ってる?」

なんか面倒臭くなってきたので早々に退散・・・・。
ほんじゃ、後で「コレ読め!」って事で書いてみっか!

スクーターにだってクラッチはあります!(キッパリ!)
ただ人間が操作するか?機械が操作するか?の違いなんですね。
そもそもエンジンが動き続けているのに、鉄の棒かなんかでタイヤと繋がっていたら止まれないじゃん!
それでは「スクーターの仕組み・その1」って事でクラッチの仕組みを見てみましょう。

車のオートマチックの仕組みはトルクコンバータという機構で、向い合わせた2つのお椀の中を粘度の高いオイルが充填されています。
1つのお椀はエンジンに、もう1つのお椀はタイヤに繋がっていて、そのお椀の中には羽がいっぱい付いていてオイルを受け止めるようになっています。
エンジンの回転が低い時はオイルはゆっくりと掻き回されているのでタイヤ側のお椀は回りません。
しかしアクセルを踏んでエンジンの回転を上げると、お椀も速く回りますのでオイルも一緒に速く回り始めます。
するとその反対側にあるお椀も影響を受けて回り始めます。
これがオートマチックの発進の理屈です。

しかしスクーターにそんな高価で重くて大きい機械は取り付けられません。
ですから全く異なる機構の「自動遠心クラッチ」という仕組みを取り入れています。

後ろから見るとタイヤ(ホイール)と直結したカップが付いています。
これはクラッチシューを受け止めるアウターで、この内側にシューを押し当ててエンジンとタイヤを一体化させる役目をします。

クラッチを正面から見るとこうなります。
太い外円がカップで、その中に薄い色のクラッチ一式が入ってます。
この例では3つのクラッチシューがあって、それぞれの片方が固定され、片方がスプリングに繋がっています。
固定側のカップとの隙間より、スプリング側のカップとの隙間の方が広い事が判るでしょ!?

そしてここからがキモ!
この薄い色の部分はエンジンに繋がっていますのでアクセルを開けるとクラッチそのものが回転します。
クラッチシューには重りが付いていて、回転が速くなると?・・・・遠心力で外側に張り付こうとします!
スプリングの力より遠心力の方が大きくなるとシューがカップに当たるんです。
そしてエンジンの回転はタイヤに伝わるという訳!

もう一度後ろから見ると繋がっている部分はこうなる訳です!

仕組みが判った処で、んじゃ、スプリングを変えたらどう影響するの?

まずスプリングを硬くしたら?
遠心力に歯向かいます・・・・・つまりエンジンの回転が上がっても中々クラッチが繋がりません。
逆に言うとクラッチが繋がった時は通常よりエンジンの回転が高くなっています。
つまり?回転を上げて半クラッチで繋ぐのと同じなのでスタートダッシュが可能です。
しかしものの程度というものを間違うと、
う〜っ!(アクセル開けても中々繋がらない!)・・・ポン!(いきなりかよ!)
ってな感じでとってもイラツく羽目になります・・・・。

逆に柔らかくしたら?
遠心力にすぐに従うのでレスポンスがよくなり、アクセルを開けると同時に発進できます。
ただ接続回転数が低いのでグワッ!といった加速は望めません!

まぁ、程度を知りましょう!ってヤツですかね!