鍛造(たんぞう)品というと何やら高級感が漂うイメージだが何故?

その前に先ず「金属の繊維」について。
今になってみるとこう呼ばないようだが、私が学問として学んだ機械工学の過程ではこう講義を受けた記憶があるのだ。

鉄鉱石等の原石から採取した目的の金属(以下:例として鉄という)の純度を高めた後の話から。
TVなどで、鉄工所で真っ赤な鉄がコンベアから流れてくるのを見た事があるだろうか?
あれは溶かした鉄を冷ましながら板状にしていく圧延という工程だ。
物質分子の話は別の機会にするとして、この溶解<=>圧延を繰り返す事で、分子構造の整った鉄板が生まれる。
衣類の繊維がきめ細かい程かつ整列している程、強度が高く丈夫である様に、金属も分子構造が整列している程、硬度が高いのだ。
(私はこれを「金属繊維を整える」と言っているのだが、この表現は一般的では無い様なので覚えない様に!)

次に鋳造(ちゅうぞう)の話。
鋳造とは、その鉄を再度、高温で溶かし、型枠に流し込んで冷ましてから取り出す事。
この工法の利点は、

・型を安易に決められる。
・原料は溶かしちまえば良いだけ。

つまり、製造が楽なので安く出来るのだ。
反面の欠点は、

・金属繊維がバラバラになってしまうのでもろい。
・その分強度を上げる為に肉厚設計になってしまい重くなる。

簡単に言えば、ちゅうぞう品は「安いけど重い」のだ。

では鍛造品は?

圧延して繊維を整えたままの鉄を、何千・何万トンという力で型プレスする。
この工法の利点は、

・繊維が壊れていないので強度を保もてる。
・強度があるので薄く・小さく加工出来る。

反面の欠点は、

・圧縮されて強度のある金属を削りだして行かなくてはならないので非常に手間が掛かる。
・だから製造工程がかさんで高価になってしまう。

簡単に言えば、たんぞう品は「高いけど軽い」のだ。

もっとも上記の鋳造と鍛造の違いは「同じ強度を保つとしたら」の話なので、一概に比較すべきものではない。

タイムアップを念頭に置くなら、ピストンを鍛造品に替え様がノーマルのまま使おうが、それ以前に己(おのれ)の腕前を磨く方がよほど近道なのだから・・・。

ただ「鍛造品を持っている」という事がステータスに思う男の子にとっては、値段や実用性や自己鍛錬などは二の次なのだよ!