・発症後48時間以内の治療で勝負が決まる・・・
・発症後1週間での治療では完治率3割程度・・・
・発症後1ヶ月後では治療不可で障害が残る・・・
など本当は怖い
突発性難聴の完治まで

突然やってくるこの病気。
何がなんだか判らない状態で不安な人が居たら読んでみて下さい。
何かしらの参考になればと思います。

2005年5月4日13時(発症日)
連休中のまどろみ。
ふと、うたた寝から覚めると右耳の奥が(ブーン)と唸っている。
眠りに入る1時間前まで全く異常はなかった。
「耳が痺れたか?」
正座した足じゃあるまいし、痺れる訳もないのだが、とにかく変。
ちょうど飛行機で上昇した時や新幹線でトンネルに入った時のあの詰まった感じ。
ツバを飲んだり綿棒で弄ったりするが変わらず。
気にするの止めた。

5月4日22時
いよいよ聞こえなくなってくる。
インターネットで「耳が聞こえない&突然」のキーワードで検索してみる。
「突発性難聴」との文字が見えた。
次に「突発性難聴」のキーワードで検索してみる。
ストレス・睡眠不足・胃腸不良等が原因で突発的に難聴になるらしい。
思い当たる。
年度末を境とする仕事で、今までにない過大なストレスを受けている事は自覚している。
ある程度の部下を率いて頭をやっている為の睡眠不足とトラブル処置の陣頭によるストレスは、この20年間で滅多に無いストレスだった。
今でも連休中とはいえ、自宅に持ち込んでメールでの資料のやり取りをしている。

インターネットでは「2週間ほどで自然に治癒する」とあったのでちょっと安心。
でも「2週間もこの気持ち悪い状態が続くのか・・・」と暗くなる。
明日はバイクのジムカーナ練習日。
何としても参加するぞ!

5月5日日中(発症2日目)
完全に右耳が聞こえなくなる。
無理やり気にしないフリをする事にした。
異常である事は自分が一番知っているが、何と言ってもGW。
病院などやっている訳がないのだから・・・・・バイクに乗っているとそんな事も忘れる。

5月5日18時
帰宅後、自宅で静かな環境に入ると、耳鳴りが酷くなっている事に気がつく。
耳の奥で、ジェット戦闘機と耕運機が「キーン・・・バタバタバタ」と走り続けている。
こりゃいよいよ異常だ!

5月6日9時(発症3日目)
出社。会議の会話が半分も聞こえない。
どうせ聞こえないなら無音のまま聞こえない状態であって欲しいのだが、例の「キーン・・・バタバタバタ」に加勢して今日は「ゴー」とトンネル内の騒音まで加わっている。
もう五月蝿くて人と会話が出来ない。
なんか頭が痛くなってきた。

5月6日13時
その事を部下に話してみると意外にも深刻な顔をしてしゃべりだす。
「知人で同様の症状になった者が放っておいて失聴になった」とか、
「ステロイドが・・・・10日間入院が・・・・・」
「頭の後ろが痛ければ危険」
などど、訳の判らない事を言い出す。
以前に風邪をこじらせて中耳炎になった時に似た症状だと思っているので、治療後5分もすれば聞こえるようになるとタカをくくっていた自分だったが、さすがに不安になって「午後はお前に任せた」と退社し、そのまま地元の病院へ直行する。

聴音検査なるものを受ける。
無音の箱に入れられてヘッドホーンで音を聞く検査だ。
定期健康診断で一度やった事があるが、検査内容がそれより精密のようだ。
骨伝導なる装置も付けられて頭蓋骨が震える。

結果は、左耳は正常、右耳は中度〜重度の難聴と診断。
判ってるわい!聞こえないから来てんじゃん・・・。
(右グラフの縦列の数字の20が基準値らしい)

ただし医師による次の結果通達に言葉を失う。

「一刻も早く治療を始めないと失聴の恐れがあります」
・・・・・え?・・・・なんだとぉ〜・・・・?
ともかく自分の身に起きている事実を把握する事に努める。
ここで自分もやっと本気モードになった訳だ。(呑気・・・かぁ?)

やはり病名は突発性難聴との事。
突発性難聴は神経からくるものでハッキリとした原因は不明。
「ストレス・睡眠不足等が原因らしいが断定は出来ない」とインターネット情報と同じ事を言っている。
しかしここからがインターネット情報と全く異なる。

「神経系の疾病は放っておくと再生が難しい。時間が経てば経つほど治療が難しくなる。神経が完全にダメになる前に一刻も早い治療が必要」との事。

対処法は「ステロイドホルモンの投与。安静が絶対条件でおおよそ10日の入院が必要」と通告される。
・・・・おいおい・・・あいつの言ってたまんまじゃないか・・・。

医師との対話スタート。
自分「入院の目的はステロイドホルモンの投与だけですか?」
医師「それと安静です」
自分「それでは朝に点滴を受けてから出社は不可能ですね?」
医師「ダメです。安静が条件でストレスを掛けては何もなりません」
自分「すぐに入院が必要ですか?」
医師「入院というよりはステロイドホルモンの投与です。放置すると危険です」

この時点で出社を諦める。
満員電車に乗るだけでもダメだと言うのだから・・・。

自分「では安静にしていれば通院しての点滴は可能ですか?」
医師「可能です。だが繰り返しますがストレスを掛けては何もなりません」

さすがに重い会話だ。
しかし最低でもメールチェックしない訳にはいかないしなぁ。

自分「とりあえず今日からGW明けまでは通院の点滴でいいですか?入院はそれから考えたいのですが」
医師「いいでしょう。ただし一度ステロイドホルモンの投与を始めたら最後まで続けます。途中で止めると逆に症状が一気に進みますから」

思い切り重い内容だ!
生涯においてステロイド投与などした事もなかったが、どうもそういう性質の薬物らしい。

まぁ、理屈は判った。要するに、
1)心身の異常により、どっかしらの神経が潰れた。
2)潰れた神経は薬剤投与と精神安定をしない限り改善は不可能。
3)不可能とは一生障害が残るという意味。
4)治癒には入院か最低でも点滴を継続する事。
5)途中で棄権は出来ない。
という事だ。

さすがに仕事より自分の身体を考える事になる。
(GW明けなのにさらに10日間の休養かぁ・・・・)
点滴のあと帰宅後、1週間のスケジュールを立て直し、会社へメールで説明する。

5月7日9時(発症4日目)
ステロイド投与2回目。
昨日病院に行く直前は、前方からの声が左の真横あたりからしか聞こえてこなかったが、
今日は左60度くらいから聞こえてくる。
しかし依然として右は耳鳴りが酷く全く聞こえない。

5月8日9時(発症5日目)
ステロイド投与3回目。
左30度くらいから聞こえてくる。
右耳も僅かに音を捉え始めた。
耳鳴りがブーンの1音だけになっている。
しかし依然として耳障りな音だ。

やたらと喉が渇く様になってきた。
どうもステロイドの副作用のようだ。

5月9日9時(発症6日目)
入院するか通院するかを問われてとりあえず通院すると答える。
ステロイド投与4回目。
ほぼ正面から聞こえてくる。
音声を骨の振動ではなく音として捉える事が出来るようになった。
しかし耳鳴りのブーンはそのまま。

今日は水分を3L程必要とした。
喉が渇いて眠れない。
ペットボトルを抱いて寝る。


ところでステロイドホルモンについて調べてみました。

ステロイドホルモンとは?
ホルモンと言うらいだから、もともと人体内で作り出される分泌物の事。
腎臓のちょっと上辺りにある副腎というところで作られるホルモンの事を副腎皮質ホルモンというらしいのだが、このことをステロイドホルモンとも言うらしい。

ここまで書いて「んじゃホルモンとは何ぞや?」と疑問になる。
ホルモンとは一言で言うと「促進剤」らしい。
何の?
体を構成する要素には、成長・維持・らしさ?、何てのもあるらしいが、要は、
・子供の成長に必要な各種物質
・男らしさ、女らしさなどを形成する各種物質
・対外要因から健康を守る為の各種物質
などがあって、それらの物質が効率よく発揮出来る為の促進剤らしいのだ。
(もうこうなってくるとこの程度しか理解できん・・・)

話しを元に戻すと、このステロイドホルモンの役目は、ストレスから体を守る「抗炎症作用」と「免疫抑制作用」の2つの働きがメインで生命維持には不可欠かつ強烈な促進剤らしい。

その投与の意味とは?
難しくて何か・・・・つまりだ・・・自分なりに要約すると、
その促進剤を意図的に精製して体内に投与し、自己治癒による神経の再生を助けよう!・・・・って訳・・・・だな?
つまり、あくまでも自然治癒がメインであって、その手助けに投与するのだから、ストレスを掛けたら、そもそも自然治癒が出来なくて、いくら促進剤を投与しても意味が無い・・・・って事になる訳だ。
植木にせっせと肥料をやっていたとしても、それが海岸の砂の上に植えていたのでは意味が無い・・・って事か。
これで医師の言う「安静が絶対条件」の理屈が理解出来たよ・・・。

んで、今回の「突発性難聴に関係する神経の再生」には副腎皮質ホルモン=ステロイドホルモンが該当するという事だ。

副作用は?

強力な作用をする促進剤ゆえにその反動も大きいそうな。主な症状は、

・ステロイド性満月様顔貌

(症状)通称ムーンフェイスといって顔がプックリと膨れるそうだ。

(自分)今更どうでもいいや・・・。

・骨粗しょう症

(症状)カルシウムの吸収が妨げられて骨生成が遅れるそうな。

(自分)今更どうでもいいや・・・。(でも成長が必須のお子さんは注意ですね)

・胃潰瘍、吐き気、嘔吐、吐血

(症状)要するにムカムカするらしい。

(自分)全く症状なし。どうも胃腸は丈夫なようだ・・・。

・食欲増進

(症状)やたらに食べるようになるらしい。

(自分)望む処だ!100kgの体重維持しなきゃイカンし・・・(爆)

・精神不安定

(症状)要するにイライラするらしい。

(自分)ドカッと時間を与えられた訳じゃん!読みたかった本がドッサリあるし、とっても精神安定してますわい。でも仕事のイライラが無い(出来ない)事が一番の安定だと自覚はしてますよ。

・感染症、免疫低下

(症状)抵抗力の喪失により各種疾病感染になりやすいらしい。

(自分)この間に子供達が風邪をひいてくれないように祈るよ・・・。

・多毛

(症状)女性ホルモンとのバランスでちょっとだけ多毛になるらしい。

(自分)ラッキー!最近、は、生え際が・・・・(爆)

・のどが乾く

(症状)そのまま。

(自分)今のところこれだけが副作用として出ている。まぁ、飲みゃ〜いいだけじゃん。

ここで覚えた雑学
・自分に対する促進剤を「ホルモン」、人に対して放つ促進剤を「フェロモン」と言うのだそうだ!
・ホルモン焼きのホルモンとは単に食用の内臓全般を指すのであって今回の促進剤とは何の関係もないようだ。ちなみに「ホルモン料理」は商標登録されているそうな。


5月10日9時(発症7日目)
聴音検査2回目。
その結果通院だけでも構わないと告げられる。
ステロイド投与5回目。
もう音声の識別は問題ないようだ。
耳鳴りの(ブーン)が少しだけ小さくなってきた。

「あと何日くらい必要ですか?」の問いに、
「あと8日間はやりましょう」
え?じゃ、今週で終了じゃないの!?
(10日間くらいとは2週間の事だったのか・・・)
もう予定が立たない・・・。
だんだんどうでもよくなってくる・・・・。

5月11日9時(発症8日目)
ステロイド投与6回目。
喉の渇きが少なくなってきた。慣れたのかな?
そのかわりやたらと小便が近くなる。
耳鳴りは昨日と変化なし。

5月12日9時(発症9日目)
ステロイド投与7回目。
耳鳴りに変化が出てきた。
山と谷があって、小さいときはほとんど聞こえない位に正常になっている。
「耳鳴りがしていない」事に後になって気付く事がある。
しかしTV視聴後や会話したりすると、その後は例の(ブーン)が聞こえる。

5月12日20時
今、気が付いた事。
(ブーン)の音量は次第に小さくなっている。
時々耳鳴りがしていない事に気が付くのは「生活音>耳鳴り音」の時だと判った。

日常は、例えば、浄化槽のモーターの音や水道、遠くの交通、木々のざわめきなど、ある音量が常に耳に届いている様だ。
これらの生活水準音量より耳鳴りの方が大きい場合は「異常だ」と感じる。
しかしこの異常レベルが少しずつ小さくなってくると、例えば今日などは、PCのファンの音で相殺されて、異常だとは感じなくなっている。
しかし、深夜になって生活音が消え、PCを消すと、(ブーン)と耳鳴りが五月蝿く感じるのだ。
まぁ、ゆっくりと神経が再生しているというところか・・・・。

5月13日15時(発症10日目)
ステロイド投与8回目。
今日は所要で午前中は外出。久々の(病院以外への)外出だ。
15時より病院にて投与開始。
症状変わらず。
あと4回ほどやってみようか?と言われる。

5月14日9時(発症11日目)
ステロイド投与9回目。
症状変わらず。

5月15日9時(発症12日目)
ステロイド投与10回目。
症状変わらず。

5月16日9時(発症13日目)
ステロイド投与11回目。
耳鳴りがより小さくなってきた。
日常生活ではもう不便は感じない。
しっかし腕に点滴針を刺す処が無くなってきたよ・・・。

5月16日24時
全ての電源を落とし就寝する。
フと気が付くと・・・・耳鳴りがしていない!
明らかにに無声・無音状態になっている。
何日ぶりだろう・・・この当たり前な事実に対する感動。

しかし油断はしない。
耳鳴りに強弱の波がある事が判っているから。

5月17日9時(発症14日目)
ステロイド投与12回目。
聴音検査3回目。
「点滴は今日でお終いにしましょう。後は投薬で一週間様子を見て聴音検査をしてみましょう」 と言われる。
(が、HPに載せるデータが欲しいので)
「一応今日も聴音検査したいのですが」
「判りました」
で、受けたのがこれ。(→)

「あれ?もう治ってますね?」
うん、だって昨日の深夜の時点で自覚出来たもの。
(何で右耳の方が良い結果なのよ?体調によって違うんだろうね)

「取り合えず薬を服用してまた一週間後に来てください」
で受け取った薬が、
・メチコバール錠500μg 0.5mg:末梢神経障害を改善するらしい。
・アデホスコーワ顆粒10%:要するに投薬の為の胃腸薬らしい。
が一週間分。

こうして12日間連続の点滴攻撃が終わった。
この間、会社は休みっぱなしの状態。復帰が怖い。
しかし偶然にも自分の身辺で、突発性難聴を軽視した事によって、生涯において障害を負ってしまった人達に何人も会った。
こうした話題にならないと話さない「中途失聴者」と言われる人達が意外にも多く身の回りに居るものだ。
というかその前に「若いころに耳が聞こえなくなったんだよ」と言っている殆どの人達が「自分が突発性難聴になり、その治療には一刻を要する」事実さえ知らなかったのだ。

今日(こんにち)、インターネットにより欲しい情報が世界中から一瞬で得られる。
こうした恩恵を得られない時代に遭遇してしまった人達は不運であるというべきか?
でもその分だけ「何かあったら医者に掛かる」を重視すべきなんだよな。きっと。

「普通」に戻るという事がこんなに嬉しいとは。
日ごろ「普通」の維持・管理は全く気にしていないのに、いざ「異常」から「普通」に戻すのがこれだけ大変とは。
「普通」って素晴らしい!
それを考えたら「たかが2週間の休息」と考えるべき。

いろんな事を考えた。
読みたい本を読破した。
子供の帰宅時間が判った。

さぁて、日常生活に戻りますか・・・・^^



すわっ!再発か!?

【2009年1月28日】

あれから4年後の冬。
3日前からパソコンの電源を切ると両耳の奥から「キーン」と聞こえる。
かなり小さく、就寝すると耳障りな程度だ。

今回は「時々悪寒がする」オマケつきなので、違うよな?両耳だし!?との思いからも、しかし耳の恐ろしさは一度経験しているので敏感に反応してみる。
だって万一突発性難聴だったらすでに72時間は経過しているので、ちょっとだけ焦りながら。
また昨晩はわずかながらも音が大きくなってきたので明けたらすぐに耳鼻科に行く事にする。

朝起きると両耳の奥が痛い。
「ん?やっぱりこれは突発性と違うな?」
突発性難聴は痛みは全く伴わないハズだ。

ともかく耳鼻科へ。
鼓膜と鼻の粘膜を検診してもらった結果は、
「風邪からくる中耳炎ですね」
と過去のカルテを引っくり返しながらも
そう診断してくれた。

心底ホッとしながらも、
「取り敢えず聴力検査いいですか?」
の結果がこれ(→)

風邪の影響で多少数値が下がっているが、
全く問題なしだ。
抗生剤をもらい帰宅。

実はあれからバイク屋さんのお客仲間で過去に突発性難聴をやって殆ど聞こえない人と出会った。
やっぱり身近にも結構いるものだ。
心配はするにこした事がないな。
この検査手順というか、パターンは今後も続けていこう。

【2009年2月4日】

やっぱりおかしい。
風邪は完全に治って、今日の診察でも耳と鼻の腫れは引いているが、まだ深夜に「キーン」と音がする。
小さな音も聞き取れるので難聴ではないが心配だ。
「じゃぁ、前回の薬で様子みましょうか」
と、メチコバール錠とアデホスコーワ顆粒をニ週間分貰う。

更に「余り神経質にならないように」と(精神安定剤)を貰った。
何でや?気のせいじゃないって!でも気にし過ぎているのも確かかも。
様子見。

【2009年5月10日】

あれから気になったり忘れてたり・・・・・。
しかし余りにもPCの音が五月蝿く、その後のキーンが続くのでPCの騒音撲滅作戦に出る。

それから一週間後。
あれ?キーンが無い・・・・。
やっぱり騒音によるただの耳鳴りだったのかよ!
・・・・よかった。