【2012年3月】
ある寒い日の夕刻。
雨戸を閉めようと戸袋から引き出すが出てこない。
なんか戸袋の中で斜めってる。
バンバンバン!引っぱたいて出す。
翌日も同じ。
頭きて庭にあった鉄パイプでコジるとバキッ!と戸袋が膨れた。
ネットで調べる。
”戸袋 雨戸 出てこない”
「戸車が片減りしている可能性があります。点検してみましょう」
どうしてこんなに便利な世の中になってしまったのだろう。
もう自分で調べるという意欲が沸かないよ。ニッポンの将来が不安だ・・・・・・。
という訳で点検してみた。
なんか・・・・削れてるし・・・(→)
多分雨戸のコロコロのところなんだろうな・・・。
まぁ、新築16年で一切のメンテンナンス無し。ゼロ円でここまで来た。
壁も床も天井もサッシも車庫も玄関も風呂場も台所も・・・・一切のメンテンナンスなし。
日常生活で初めて障害が出た訳だ・・・・雨戸が閉まらないという障害が。
ちょうど1年前の今日、体験した東日本大震災でさえ何の被害もなかった家なのに。
(関係ないか・・・・)
ところでサイト見てて初めて知った。
雨戸を外すには「はずれ止め金具」なるものを避けて外す必要があるのだという事を。
確かに雨戸が簡単に外れたら意味がない。
雨戸は、雨戸≒防犯扉なのだから。
だからピタっと閉まった位置には「はずれ止め金具」があって、その位置では持ち上げても外れないようになっている。
その間隔は雨戸1枚以上あり、「はずれ止め金具」と「はずれ止め金具」の間の位置で上に持ち上げると簡単に外れる仕組みなのだ。
なるほどねぇ〜・・・・業界では常識なのだろうけど、新知識は新鮮だわぁ〜!
さて、雨戸を外した後で、戸袋を外して掃除しようと分解しはじめて5分で断念した。
合計8カ所のビスを外すと戸袋のサイドの蓋が外れるのだが、肝心の正面は上が外れるものの下が一体化したまま壁にハマってる。
壁にしっかりとコーキングされていたのだ。
こ、これ外すと壁塗り直す必要あるじゃん・・・・・で、そ〜っと元にもどす。
吐き出し用のデカい雨戸で一間半を3枚で構成。
1枚目を外してひっくり返してみる。
ふ〜んちっさい車輪なんだな・・・・。
ネジ一本でしか止まってない。
反対側は高さ調整用のネジが入っていて、それが戸の中にめり込んでストッパーになっている。
ガサツだな。浮く可能性を考えれば2本で止めたいと技術陣は反対しただろうに。
(実はもうこの辺から気に入らなくなってきている)
2枚目を外して点検。
ふむ。
引き出す時に斜めったまま出そうとした蓄積の跡だな。
つまり、スッっと真っ直ぐにならくなってきた訳だ。
そんで3枚目を外して仰天!
何だこりゃ!?
まぁ、原因は容易に判断できるか。
と言うか上の写真の傷の原因がはっきりした訳だ。
一番奥に収納された3枚目はそのまま引っ張るとおよそ5度の角度が生じる。
しかし引く力で角のガイドに当ててテコの原理で戸車をスライドさせて真っ直ぐにして引っ張り出す。
ある日、何らかの理由でスライドが鈍って車輪に傷をつけてしまったとしよう。
恐らく斜めに傷が入ったハズだ。
最初は浅いので問題なく引けるが、ちょっとづつ傷が深くなり、それに伴ってさらに当たる確率が高くなり、やがて傷の部分から回らなくなって完全な平面が出来上がったと思われる。
最初の原因はそんなもんだろう。
つまりその戸車が摩耗の末にクリアランスがゼロになったとしたら?・・・・スライドしない戸は斜めのまま「ギギギッ!」と擦りながら出ようとする。
しかし完全に底が接地すると5度の角度はもう引き出すに不可能な位置なのだ。
うちの雨戸は、
180*90:8枚
120*90:6枚
90*60:4枚
の合計18枚で戸車は36個となる。
早速ここまでの調査結果を基に「トステム」に聞くべく電話してみる。
トステムで調べるとリクシル(LIXIL)と出てくる。
どうもサポートを別会社にしたようだ・・・・と思ったらスゲ〜事を今更ながら知ったぞ!
ちょうど1年前にトステム、INAX、新日軽、東洋エクステリアが吸収合併してLIXILって会社になったらしい。
だから「トステム」も「INAX」も「サンウエーブ」も1つの会社になっちゃまったらしい!
それって・・・独禁法に引っかからないのか?・・・・ってさらに調べたら、
その合併時点で、住宅設備業界のシェアは
1位:パナソニック電工
2位:LIXIL
3位:TOTO
4位:YKK
5位:三共・立山HD
6位:JKHD
7位:三和
8位:リンナイ
9位:積水化学
10位:ノーリツ
と、独禁どころかそれでも2位なのだそうな。
・・・・へぇ〜・・・・・・ってな話は置いといて。
ともかく電話してみた。
すると「判りました。担当者に繋ぎますのでお待ちください」との事。
「担当者?」
「はい。私は日軽金の人間なので商品の詳しい説明ができません。トステムの人間に変わりますので」
と、いかにも合併ホヤホヤらしい会話。
しかし担当者が出るとさすがに早い。
するすると読みといて型番が「FNMS018」という戸車だという事が判明した。
「値段にもよるけど36個欲しいんだけど!」
の問に急に声が小さくなる。
「移動量が一番多い1枚目から順次交換していったほうがいいと思います・・・・」
「いや、3枚目が死んでるんだって!だから全部取り替えたいの!」
「実はオンラインでも売っているんですが」
とページを教えてもらってビックリ。
なんと!1個1050円!!
「わっ!!高っけ〜!!」
「・・・・そうなんです・・・・」
と申し訳けなさそうに言っている。
36個で送料入れたら4万円近くかよ。
バカじゃね〜の?
それとも世の中そんなもんなのか?・・・・・ビックリだよ・・・・。
電話を切って型番をキーに探してみる。
これまた驚いた事に、840円〜1680円とバラバラ。
メーカーが1050円で売ってるものを何で取り扱い業者が1.6倍の値段で売ってるんだ?(犯罪じゃないのか?)
そしてありました、ユーザ意見。
「こんなもん200円くらいで作ってんじゃないの?ボリすぎでしょ!」
拍手!!
全くその通りだと思う。
オレの感覚では1個150円だったもの。
だから36個で5千円くらいの出費はしかたあるまい・・・と思ったもの。
だって生活用品だぜ!?
必需品だぜ!?
無いと戸が閉まらないんだぜ!?
これで、何故「ど〜でもいい事だけど」じゃなくて「ど〜でも・・・よくない!」のジャンルに入れたのか?判ってもらえたかしらん?
「トステム」の強気体質というか無知体質にすんげ〜腹が立ったから。
お客相手に流通価格を意識する誠意があるなら、車輪だけでも販売するハズだ。
なぜなら金属は歪まない限り壊れないからだ。
それだけでも製造工程を考えれば消耗率と在庫率から半額には収まる。
つまりは、自分らがゴリ押ししても黙って耐える弱者であるところの業者対応しか考えてないので、強気の姿勢でボッタクれる訳だ。
あとはその業者がコンシューマから悪徳商売しようが知ったことではない。
正に責任逃れの「自分さえ良ければOK」体質だ。
今の世の中、ネットであらゆる情報が入手可能だし、しかもその情報が「意外に素人作業でも有効である」という事を素人自身が把握してきている事に気が付かないバカ企業は勝手に売上を落とせばいいだけさ。
これらがバイタリティーとなって、それからググル。ググる。
実際、DAY2にもジョイフル本田にも行った。
その結果、これは特殊な車輪で一般的な25mmより小さい18mm。
ほとんほ市場に流通していない。
一部あっても幅が6mmと既成の11mmの半分程度しかない。
試しにデイツーで25mmの車輪(80円)を買ってみたがやはりダメだった。
そうだ!
この金具を無視して自分でドリルで取り付けたらどうだ?
しかしアルミフレームをバラしに掛かってすぐに断念。
一般的な戸車に合わせてサッシを加工しようとしても、フレームがリベット打ちされていて外す事ができないのだ。
つまり外したらアルミ溶接しかない・・・・って事だ・・・・そこまでの設備は持っていない。
すんげ〜腹が立ってきた。
実際のバラした既製品とノギスを持って再度ホームセンターへ。
物色開始。
しかし小型キャスターも最小で25mmしかなく断念。
やはり戸車コーナーへ戻ってしまう。
そして帰りに寄ったホーマックでもやはり戸車コーナーへ。
例の18*6を手にとってノギスで測りながら何気に2つ合わせてみた。
あれ?もしかしてピッタリ?
試しに2個(50円/個)買って帰る。
金具に打ったリベットをペンチで潰す。
すんごいチャチに出来ていて1個10秒で壊せる。
2枚合わせてみるとなんと!ピッタリサイズ!!
ちょ、直径は?・・・とアセってみる。
既製品の4mmの軸径がちょっときつかったがパンパンとペンチで軽く叩くとスッと入っていった。
あれ?直径も幅もピッタリじゃん!!
そのまま一番小さい90*60の雨戸に取り付けてみる。
全く問題なく開閉できた。
しかしまぁ、この時点で、
@軽い雨戸なので荷重負荷が判らない。
A1枚目なので横スライドが無くダメージがない。
なので、そのままホーマックに電話。
「さっき買ったヤツ、もう品切れでしたよね?今週中に12個用意できます?」
可能との事なので、来週買いに行って、一番重要な場所にある&一番損傷の酷かった重量級の雨戸3枚組で試してみようと思う。
ネットで調べた限りはこの大きさのこの価格の(チャチな?)戸車の耐荷重は1個で5kgが限界らしい。
今回は1箇所に2個入れるので1枚で4個=20kgは耐えられる想定だ。
早速試しに雨戸を1枚ひっぺがして体重計で測ってみると9.7kgだったので、2倍の耐荷重性が検証された。
まぁ、暫くはその状態で使ってみて,使えるのか?耐えられないのか?どう摩耗するのか?を調べたい。
もしかしたら超長期(10年とか!?)の検証企画モノになるかもよ?
ただそうは言っても敵状探察においては諜報活動は必須である(!?)事から既製品を1個840円で買ってみる。
新品の正確な寸法を割り出す事が目的。その結果、
車輪直径:18.90mm
車輪幅:9.95mm
車輪軸幅:11.95mm
車輪軸径:4.10mm
車軸径:4.00mm
内側金属ケースの幅:13.00mm
となった。
これで2個並べてピッタリの理由が判明した訳だ。
ホームセンターに行った時に、
車輪幅が9〜10mmだと記憶していたから、
2個合わせて12mmは無理だろう・・・・と勝手に思っていたのだが、
車輪軸幅が11.95mmでピッタリだし、
ケースの内幅が13mmで逆に+1mmもあったから余裕で入ったのである。
さて、翌週の日曜日。
ホーマックで約束の12個を受け取り帰宅。
前回の2個で実験済みなのでいきなりバラし始める。
1階リビングの現場に移動して3枚の雨戸を外し、6個の戸車を外す。
これも前回実験済みだから戸車だけを室内に持ち込む。
2個ペアにした車輪を、ちょっと硬い軸に打ち込んでケースにはめる。
そして大外のケースに入れてみると・・・・・・車輪が動かない。
あれ?何で?
よく見ると外ケースと内ケースの車軸は接触していて動けない仕様のようだ。
だからキツ目に打ち込んだ車輪が接触した車軸に張り付いたまま、一緒に動けずにいたのだ。
前回の実験では戸の重量が1/3なので問題ないのだろうが、今回は戸の重さに連動して転がらないまま摩耗する可能性が高いと思われた。
そこで改めて軸径を計測してみた。
車軸は4.10mm。
新しい車輪の直径は3.95mm
これを打ち込みによるクリアランス0mmから、半径0.05mm程度の隙間を作って浮遊させたいと計画する。
そこで先ず、4.00mmのドリルで拡張してみる。
まだキツイ。
かといって次のドリル刃は4.50mmなので(大きすぎて)使えない。
よって指の感触で4.2mmじゃね?ってところまで削ってみる。
ま、要はいい加減・・・・って事だけど・・・。
12個の車輪の軸穴を車軸が何の抵抗もなく通過できるまで削ってみる。
こんな感じ。
ついでにレールはパーツクリーナーで油脂を除き、その後にたっぷりとシリコンを吹いておく。
戸を引き出し手を離すと惰性で走っていく。
う〜ん・・・10年ぶりくらいなのだろうか?
やっぱ気持ちがいいぞ!
当然の事ながら、耐久性の実証はまだ時間が掛かるが、
今のところは、
50円*36箇所*2個=3600円という事で、
材料費37800円(+工賃)の90%超のプライスレスにて決着!
メーカーの殿様商売なんぞに乗ってやらんもんねぇ〜!
おしまい。
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